ばあちゃん。

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なんでも湿布(シップ)の、ばあちゃん。

膝、首、手… 痛くなればシップ。

求心を呑み、正露丸を呑み、たったそれだけの処方では当然ながら効くわけもない。

「いてぇや、いてぇや」と言いながら、何食わぬ顔で時代劇を見る。

右が骨折すれば、何食わぬ顔で左手にスプーンで食事をする。

不自由でないかと聞けば「まだ、左手がある。」と笑って見せ、なかなか難しいけれど、こんなにも上達したと自慢して見せる。

道は安全なところと決めた場所を歩くのが常で、車道を歩くこともしばしば。

「車が避けていくから大丈夫。」と、悪びれずに、マイペースで乳母車を押しながら歩く。

施設に入り、看護師さんの手違いで担架から落とされ寝たきりに。

しゃべれなくなっても、誰かに文句を言う顔ひとつしなかった。

インスタント焼きそばをラーメンと間違えて作ってけんかになったり、

孫たちに買う菓子パンなどは、亡くなったときはじめてツケが残っていたことも判明。

孫が心配で、帰ってくるまではトランプで占いをする。

それでも帰りが遅いと、秋の暗い夜道でも1kmは楽々と歩いて、孫を迎えに行く。

孫は、高校生… 私です。

それが恥ずかしくて、ばあちゃんをおいて早々と帰宅する私。

20分ほどしてばあちゃんが返ってくる。

「もう少し、早く帰ってきてくれや。」と、言いながらベッドに入りテレビを見はじめる。

いろんな思い出がある。

大好きだったな、ばあちゃん。

ありがとう。

こんなコロナのご時世、ばあちゃんなら、どんな工夫をして過ごすのだろうか?

きっと、自分ルールを勝手に作って、人にうつさず、もらわず…

それでいて、自分が自分らしく、楽しんで時間を過ごせるような「何か」を考えだすのだろうな。

ちょっと、見習ってみたいと思います。