ガラスの仮面(1~49巻)を男が読むとどう思うのか?

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

北島マヤ

キッカケさえつかめれば、そこからひらめきが起きる。
どうして、そんな演技ができたのかと尋ねれば「なんとなく…できた」と答えてしまう。
世間はそういう人を「天才」と呼ぶ。
とくに姫川亜弓は、マヤの天才ぶりを羨ましく思い、嫉妬し、不安を抱く。

北島マヤの不安

姫川亜弓に嫉妬されるほどの「天才」であっても不安はある。
それは、考え抜き、努力をして、行動をして… そうやって蓄積された経験が演技の骨格となっている姫川亜弓のようにはなれないことだ。
マヤには姫川亜弓のように「考え抜く」という”中身”がない。
中身のない自分に「不安」を持っている。

人やモノからインスピレーションをもらわなければ、天才的な演技にはつなげられないことはマヤ自身も気が付いている。

マヤの場合、「1」があれば、それを何倍、何百倍にも膨らませる想像力がある。
キッカケさえあれば考えなくても勝手に出来てしまうのだ。
それゆえ、マヤは「思考すればできるという内面的な満足感を得ることができない

考え実行することで結果が出る。
その結果を修正することで経験となり、繰り返すことでその経験が蓄積される。
人として「中身」がどんどん充実していく。
それが演技につながっていく。

このルーティーンがあれば「キッカケ」などなくても、いつでもどこでも「生み出し」ができる。そんなルーティーンを持ち合わせていない北島マヤは、きっと不安である。

天才ゆえの中身の空洞化。
しかし、周りにはぜいたくな悩みとしてしか映っていないかもしれない。

姫川亜弓

どうしたら与えられた役を完璧に演じ、表現ができるのか?
考え抜いて、考え抜いて、努力をして、行動をして…
その積み重ねによって、その「表現」を自分のものにしていくのが、姫川亜弓。

姫川亜弓の不安

どんなに考え行動し努力をしても「天才」的なひらめきには勝てないというジレンマ。
もっと練習を積み重ねれば、いつか天才的な視点を得られるのだろうか?
マヤのような天才的な「視点」と「ひらめき」に憧れている。
そして、そういう天才的な演技をするマヤに、自分の「座」を奪われるのではないかという不安をいつも持ち、マヤをライバル視している。

二人を良いとこ取り

天才的なひらめき、1つのキッカケで何百倍にも想像を膨らませる能力、凡人には気づけない視点があり、練習や思考、努力を積み重ねることができれば、最強ではないかと思う。

その最強に近いのは、やはり、北島マヤ。
「天才」的な想像力や視点は、努力とか練習ではどうにもならない部分だからだ。
とはいえ、最強でいられるのは「ひらめき」が頻繁に起こっている間だけである。
その「ひらめき」がなくなれば、努力の人である「姫川亜弓」に軍配は上がる。
もしかすると、姫川亜弓が「ひらめき」が頻繁に起きるようなバイオリズムに入れば、マヤは、ひとたまりもないだろう。

ただ、マヤは、姫川亜弓のことをあまり「ライバル」視していない。
むしろ、活躍する姫川亜弓を応援すらしている。
ここが姫川亜弓の座を奪わなくても、北島マヤのファンが増え続ける要因なのかもしれない。

まとめ

人間というのは、やはり「隣の芝生は青く見える」生き物なんだと思う。
そして、自分に足りない部分だけをクローズアップして、努力が足りないだの、恵まれていないだの…と自分を否定して傷つける。

本人にしてみれば、足りない部分を埋めようとするのは「自己成長」でありポジティブなことなのかもしれないが、その根底にある気持ちというのは「自分にはもっていない」ことへの不満だ。つまり、ネガティブな考えからスタートしているということだ。

すでにもっているものをより大きく育てるにはどうすれば良いのか?
そう考え行動し、もっていないものは、もっている人に補ってもらいながら、みんなで良いものを作っていくという方向性の方が、みんなハッピーだと思う。

私自身は、なんとなくできてしまうことも多々あるが、始めてしまえばかなり努力もする。
つまり、良いとこ取りのタイプだ。けれども、これが一番よくない。
キッカケをつかみ想像をドンドン膨らませ、いろいろな未来を考え抜くのだけれど、考え抜く時間が長すぎてしまう。そして、行動をしない。

良いアイデアだとニヤニヤして考えを巡らせているだけで、行動するまでには、なかなか行き着かない。頭の中だけでシミュレーションを繰り返し、答えを出してしまう。さらには、うまくいかないことだけをどんどん想像して、結局、重い腰が上がらない。
姫川亜弓の「行動」→「反省」→「修正」→「努力&行動」というルーティーンが、私には欠けている。

キッカケだけあればどんどん進む人も、とにかく考え抜いて行動して修正を繰り返し努力する人も、前に進んでいるのですが、私は、頭でっかちになり足踏みばかりで前に一歩も進んでいない。

ガラスの仮面を読み、二人の違いを見て、行動する大切さを知ったのでした。